最初の王サウル
- 日本語キリスト教会 デュッセルドルフ
- 2月22日
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聖書箇所:第一サムエル 8~10章
主題:神はご自分を恐れて、誠実に仕える者を求めておられる。
目標:自分はまことの王である神に仕えるしもべであることを知る。
導入:物事には光と影があります、人間も神によって造られた高貴な面の反面で、弱さやもろさも帯びています。完全に立派な人も完全な悪人も存在しません。私たち人間社会もまた、良い面と悪い面の両方があります。サウルから始まったイスラエルの王制の歴史もまたそうでした。
1.王を求める民
ヨシュアの死後から続いていた士師(さばきつかさ)の時代の最後に登場したのが先週見たサムエルでした。サムエルは士師、また預言者、祭司としてイスラエル全体の指導に当たりました。
師であったエリと同じく、サムエル本人は信仰深く生きましたが、後継者として士師となった息子たちは悪行をし、主の期待にも人々の期待にも応える人物ではありませんでした。人々は高齢を迎えたサムエルが亡くなったら自分たちの生く末がどうなるのかと心配し、周辺の国々のように「王」を立ててもらいたいと要求します。
いつの時代も、外国の文化に憧れてそれを取り入れたいという願望をもつものです。世界には今でも29の国に王様がいるそうです。イスラエルの人々にとっても、民をさば、先立って敵と戦う外国の「王」は、格好良い存在として映っていたのでしょう。しかしそれは、神ご自身が王として民を治めて下さる恵みを拒むことでした。サムエルは民の願いを聞いてがっかりしました。
「人々はなぜ神様に頼らず王様を欲しがるのだろうか?主よ、私たちはどうしたらよいのでしょう。」サムエルが神様に祈ると、神様はおっしゃいました。
「民が願う通り王様を立ててあげなさい。ただし、王様は国民から税金を取ったり、兵士として戦わせたり、自分の為に働かせる大きな権力をもつことをはっきり伝えなさい。」人々はそれでも、「どうしても自分たちの為に戦ってくれる王様が欲しい」と願いました。
2.サムエル、サウルと出会う
実際に最初の王が立てられる時がきました。神が選ばれたのは、ベニヤミン人のキシュの息子サウルという人物です。サムエルとサウルの出会いは不思議な形で実現しました。
いなくなった雌ろばを探しに出かけたサウルが、サムエルのもとに導かれてきたのです。サムエルは雌ろばのことは心配しないように語り、「全イスラエルの思い」がサウルとサウルの父の家に向けられていることを伝えます。王という存在を具体的にまだ知らないサウルに対して「実質上あなたが王になる」と告げました。
3.サウル最初の王となる
サウルに油を注いだサムエルは、主が「ゆずりの地(神がイスラエルに与えて下さった国土と民(イスラエル12部族)を治める君主とするため、あなたに油を注がれた」と伝え、さらに身辺で起きる出来事を3つ予告します。10章2~6節を読みましょう。
2.あなたがきょう私のもとを離れていくとき、ベニヤミンの領内のツェルツァフにあるラケルの墓のそばで、二人の人に会いましょう。その二人はあなたに、『あなたが探して歩いておられるあの雌ろばは見つかりました。ところで、あなたの父上は、雌ろばのことなどあきらめて息子の為にどうしたらよかろうと言って、あなた方のことを心配しておられます』と言うでしょう。
3.あなたがそこからなお進んで、ダボルの樫の木のところまでくると、そこでべテルの神のもとに上がって行く3人の人に会います。ひとりは子やぎ3頭を持ち、ひとりは丸形のパン三つを持ち、ひとりはぶどう酒の皮袋一つを持っています。
4.彼らは、あなたにパンを二つくれます。あなたは、彼らの手から受け取りなさい。
5.その後、ペリシテ人の守備隊のいる神のギブアに着きます。あなたがその町に入るとき、琴、タンバリン、笛、竪琴を鳴らすものを先頭に高き所から降りてくる預言者の一団に会います。彼らは預言をしていますが、
6.主の霊があなた方の上に激しく下ると、あなたも彼らと一緒に預言して、あなたは新しい人に変えられます。
これらは、神がサウルと共におられる保証となるのでした。サムエルは、サウルの頭に油を注ぎ、神様のおことばを伝えました。「神様はあなたをイスラエルの王としてお選びになりました。神様の霊が注がれてあなたは新しい人に変えられます。神様があなたとともにいて下さり、あなたは王様として民を導くことができるようになるのです。」その後、サムエルはイスラエルの民を集めて言いました。「あなたがたは、神様を忘れ、王様を立てて欲しいと願いました。今、神様が王様を選んでくださいます。」
この段階で、神とサウルとの間では、王として立てられる手続きが済んだと言えますが、民全体が納得して受け入れるためには別途手順が必要でした。サムエルはミツパに民を集め、くじを引かせ、選ばれたサウルを神が王として立てて下さったと宣言しました。これは決して偶然ではなく、神の深いご計画(摂理)の中で起こったことでした。さらに「王権の定め」について改めて語り、文書として残しました。こうしてイスラエルは士師の時代を終えて王制に移行し、王国時代が数百年続くことになります。